それどうせほぼほぼエゴの仕業だから

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~物事の悪い面ではなくよい面を見るようにすることと、自分自身の闇の部分としっかり向き合うということは矛盾しませんか?に対する答え~

 よくない出来事が自分の身に振りかかったとき、「その物事のよい側面もあることに目を向ければネガティブ思考に押しつぶされずに前向きになれる」、というアドバイスはよく聞きますが、同時にまた、「現実は自分を写す鏡だから、よくないことが起こるということは、自分の内面ときちんと向き合いなさいというメッセージである」とも言われます。ここで「見るの?見ないの?どっち?」という疑問が生じるわけです。

 仮にあなたがパワハラ上司にガマンができなくて、ネガティブ感情を持っていたとしましょう。①“見ない”作戦で対応するとすれば、「上司はイヤな奴だけど、仕事にはやりがいを感じていて自分に向いていると思えて幸せ。上司との関わり合いはなるべく避けて自分が好きなこの作業に集中しよう」とか「上司はイヤな奴だけど、同僚はみんな楽しく前向きに仕事に取り組んでいてお互いを高めあえる存在だから、彼らとのコミュニケーションを密にとるようにしよう」など、「臭いものにフタ」というか「見て見ぬふり・気づかないふり」といった対応になるでしょう。

 また、②“見る(向き合う)”作戦で対応するとすればどうなるでしょう。「自分は小さい頃から随分甘やかされて育ったからちょっと厳しくされただけで萎縮してしまい、それがミスにつながってしまう。また激しく叱責されることを想像するだけでビビってしまい、ミスの報告がなかなかできずにこれがまた上司の怒りを煽ってしまう。よくよく考えたら『私は厳しくしてもらった方がイイ。甘やかされるとどうしても気が緩んで怠けてしまう』という同僚もいるぐらいだから、自分はちょっと敏感に反応しすぎていただけかもしれないな、そもそも自分は『人は伸び伸び育てることで個性や才能を発揮できる』と信じているが、ちょっとしたミスが命取りになる仕事ではそんな呑気なこと言ってられない場合もあるしな、自分は『多少のミスは大目に見て、ミスから学ぶ自主性を育てることが大切』と信じているが、別の考え方を受け容れられなくて、逆の対応をしている上司を否定・批判・非難して自分の考え方を正当化、自分のエゴにアイデンティティを与えようとしているのかもしれないな」といった思考プロセスになるでしょう。

 ①“見ない”作戦だけで対応しても、気分がよくなりポジティブになれるかもしれませんが、②“向き合う”作戦を経ないと、後々あなた若しくはその上司が異動するなどして似たような上司に巡り合ったときに、また抑えつけていた・見て見ぬふりをしていたネガティブ感情がむくむくと頭をもたげ、時には抑えつけられていた分過剰に反応して暴発してしまうかもしれません。このようなリスクを回避するためには、念のため②“向き合う”作戦を実行しておいてから、①“見ない”作戦に移る、というのが最善のように思えます。

 …でもでも、②→①のプロセスってなんだかまどろっこしいというか、軽やかじゃないし、シンプルじゃないって感じませんか?気が重くなるというか、特に「パワハラ上司にガマンできないのは自己を正当化するために他者を否定しているからだ。」ということを認めるのは苦痛を伴うかもしれませんしね。

 そこでおススメなタスクが、②“向き合う”作戦は後回しにする・先に済ませておく、というものです。ネガティブ感情は②“向き合う”作戦を実行するきっかけにすぎないため、自己の内面分析はいつやってもいいわけです。例えば自分に余裕があるときなどに過去の似たようなネガティブ体験を分析しておけば、あとはパワハラ上司に直面したときに①“見ない”作戦だけ実行すればよいし、さらにネガティブ感情そのものが湧き上がってこない可能性もあります。さらに時間をずらすことで感情の波に押し流されず冷静に分析できるというメリットがあります。

 そして自己の内面分析に慣れてくると、気が付くことがあります。それがタイトルにある「それどうせほぼほぼエゴの仕業じゃね」という気づきです。ネガティブ感情が出現するのは、エゴ~ちょっと抽象的に言うと、全体から分離された“個”を持つがゆえに起動する、自らのアイデンティティを確立し、ときには拡大するための自己防衛プログラム~が発動していることが大半だということです。このエゴの狡猾さというか匠の技とでもいうべき手法については、エックハルト・トールさんの著書「ニュー・アース」に網羅されております。今回の例でいうと、「過剰に干渉せず、伸び伸び育てる姿勢が人材育成には大切である」という価値観は、それ自体はすばらしいものなのでしょうが、エゴの手にかかれば、「あたしの価値観はあなたのより優れているのよ」と他者をおとしめて自分の価値を引き上げようとする道具になってしまうということです。したがってわたしたちは、ネガティブ感情を「人が誰しも持っているプログラムが発動しただけだから、それはそれであきらめて受け容れて、大切なのはそれを引きずらないこと」と理解したうえで(言い換えれば、『それどうせほぼほぼエゴの仕業じゃね』と内面分析の結果をあらかじめ知ったうえで)、自己嫌悪に陥らずにとっとと①“見ない”作戦に移行するのが手っ取り早いし、この「引きずらない」を言い換えると、「今ココ」に全力投球することにほかなりません。

 「ふ~ん、結局“今ココ”なのね」と拍子抜けの感もありますが、現実に身に振りかかる出来事に振り回されることなく、現実にいちいち反応するエゴから解放され今ココに集中する技法を身に付けて「自分の機嫌は自分でとれ」るようなれば、明らかに人生が変わり、前向きに、かつ、シンプルに人生を歩めることは容易に想像できませんか?私もまだまだ途半ばですが、軽やかに、面白おかしく、人生の一瞬一瞬を味わい尽くせたらサイコー!!そんな自分にウキウキしてひとりニンマリするわけでございました(ちょっと気味わるい?)

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